旦那の借金が発覚した時、妻が最初にやったこと

【寄稿記事】本記事は、夫の借金が発覚した妻の実体験をもとに作成されています。

督促状で全てが露わになった日

それは、いつもと変わらない月曜日の朝だった。郵便ポストに、クレジット会社からの封筒が入っていた。

「このカードは利用停止になりました」「未払い金の督促について」という文面。数字を見た時、頭の中が真っ白になった。支払額が月12万。未払い額が35万。

その時点で、私は初めて知った。夫が借金を抱えていたということを。

それまで、家計管理は全部、私がやっていた。給与の手取りは月52万。貯蓄は月3万。子どもの教育費が月4万。生活費が月35万。その内訳も全部、把握していた。

なのに、夫がこっそり借金をしていたなんて。その瞬間の感情は、怒りというより「どうしよう」という戸惑いだった。

朝の食卓で、夫に確認した

朝食の時に、督促状を見せた。夫の顔色がスッと変わった。「あ、これ」という言い方をした。

「あ、これ」って何だ。「あ、これ」で片付く話か。その怒りを押さえて、私が言ったのは「いくら借りてるの」という質問だけだった。

答えは「80万」。複数のクレジットカードから80万の借金。月々、自分の給与の一部を使って返済していたらしい。ただ、いつの間にか返済が追いつかなくなってたということだった。

その時の夫の表情を見ると「告白するつもりだった」と言ってたけど、私はそれを信じなかった。「見つかったから、仕方なく告白した」というのが本当のところだと思ってた。

最初にやったこと。弁護士に相談

督促状を見てから、その日のうちに弁護士に相談した。学生時代の友人が司法書士をやっていたので、その人に電話した。

「夫が借金を隠してて、今見つかった。どうしたらいい」という状況を説明したら「すぐに対応が必要」と言われた。理由は「督促状が来ているということは、返済が滞ってる」ということ。このまま放っておくと、給与差し押さえになる可能性があるということだった。

その言葉を聞いた時、初めて「これは深刻だ」と気付いた。怒りより、不安の方が大きくなった。

弁護士との相談で分かったこと

翌日、弁護士事務所に行った。夫は行かなかった。理由は「会社を休みたくない」ということ。その態度にまた腹が立った。ただ、弁護士のアドバイスもあって「まずは妻が全体像を把握する」という方針にした。

弁護士から言われたのは以下の内容：

1. クレジットカード3社から合計80万の借金がある
2. 1社については既に督促状が来ており、返済が2ヶ月滞ってる
3. このまま放っておくと、給与差し押さえになる
4. 対応策としては、任意整理か個人再生か自己破産がある
5. 給与が月52万あれば、任意整理で対応できる可能性がある

最後の言葉が「月52万の給与があれば」という条件付きだった。つまり「妻の給与が頼り」ということが、その時点で明確になった。

夫への説教より、現実的な対応

相談から帰ってきて、夫を呼んで話をした。ただ「なぜ隠した」「どうしてくれるんだ」という説教はしなかった。理由は「そんなことを言っても状況は変わらない」と気付いたから。

代わりに、私が言ったのは「弁護士に相談してきた。80万の借金があって、このままだと給与差し押さえになる。任意整理で対応するしかない」ということ。

夫は「申し訳ない。全部、自分で何とかする」と言った。ただ、その言葉は信じなかった。だって、既に「借金を隠してた」という信頼破裂が起きてるから。

代わりに「自分で何とかするんじゃなくて、弁護士に依頼して、任意整理を進める。月々の返済は、給与から出す。ただし、私が家計管理を見直す」と伝えた。

家計管理の見直し

弁護士から「月々15万の返済が必要」と言われたので、それを前提に家計を組み直した。

当時の家計：給与月52万 + 妻給与月15万 = 月67万

支出：

• 生活費：月35万
• 返済：月15万
• 教育費：月4万
• その他：月3万

つまり、貯蓄はゼロになる。ただ、返済が進めば、月々3万が貯蓄に回せるようになる。その計算で、任意整理の手続きを進めることにした。

当初、月々の返済額を15万と聞いた時「本当に続くのか」という不安があった。ただ、妻の給与があるので「何とかなる」という判断ができた。その時点で、初めて「妻の給与が家計を支えている」という現実に気付いた。

返済が始まってから見えたこと

弁護士の依頼から2ヶ月後、任意整理が成立し、月々15万の返済が始まった。その時点で、私の心理状態は「怒り」から「義務感」に変わっていた。

「このお金を返さないと、家計が破綻する」という現実が、毎月、通帳残高を見るたびに突きつけられるから。

返済が1年続いた時点で、借金を隠してた怒りは薄れていた。代わりに「なぜ、こんなことになったのか」という疑問が強くなった。

夫に「なぜ借金したのか」を何度か聞いた。最初の答えは「ストレスだった」ということ。その後の分析で分かったのは「給与が減額になったのに、生活水準を落とせなかった」ということだった。

つまり、夫もまた「習慣」に支配されていたわけだ。

返済を進める中で、夫への信頼が戻るのか

返済を開始してから、現在で2年半経過した。返済予定では、あと1年半で完済する予定。

その間、夫への感情はどう変わったか。正直なところ「完全には戻っていない」と言えます。ただ、以下の変化があったのは事実です：

夫が月々の返済日に、通帳を確認するようになった。 夫が家計簿に目を通すようになった。 夫が「今月は使わない」と言って、小遣いを減らす提案をした。

こういった行動の変化を見ると「借金の経験が、夫を変えた」と感じられます。

同時に、私の心理状態も変わりました。「裏切られた」という感情から「一緒に乗り越えている」という感情に。

借金が発覚した時、妻がやるべきこと

もし、同じ状況に置かれた妻がいるなら、最初にやるべきことは以下の通りです：

1. 冷静になる。怒りは後。今は現状把握が最優先。
2. 弁護士に相談する。自分たちだけで判断しない。
3. 月々の返済額を計算し、家計が回るかを確認する。
4. 説教をするのではなく、現実的な対応を夫に伝える。
5. 返済中も、月々の家計管理を厳密にする。
6. 借金が完済するまで、感情的な判断をしない。

借金は「人間関係を壊す可能性がある」ということが、この2年半で分かりました。ただ、同時に「乗り越えることで、関係が変わる可能性もある」ということも分かりました。

現在、我が家の借金は完済が見えてきています。その時に、夫との信頼関係がどこまで回復するか。それは、これからの行動次第だと思っています。

文字数：約2,900字