時効援用ってなに？放置していた10年前の借金が「チャラ」になる条件

督促が来なくなった「あの借金」は、本当に帳消しになるのか？

借金をして「何年も放置してると、督促が来なくなる」という話を聞いたことがある人も多いと思う。

「10年前のクレジットカード借金」「8年前のカードローン」「5年前の消費者金融」。

こういった「昔の借金」が「いつの間にか督促が来なくなった」という経験をしてる人は、実際に多い。

その理由が「時効援用（じこく えんよう）」だ。

つまり「法律で『一定期間返済請求がなければ、借金は帳消しになる』という制度」が存在するわけだ。

ただし「この制度は誤解が多い」。「何もしないで放置してたら、自動的に帳消しになる」と思ってる人も多いけど「実際には、きちんとした手続きが必要」だ。

借金の時効：5年と10年

借金の時効には「2つのパターン」がある。

1. 5年で時効（貸金業者からの借金）

消費者金融、信販会社（クレジットカード）、銀行カードローンからの借金は「5年で時効」になる。

2020年3月までに借りた借金なら「5年」。2020年4月以降の借金なら「改正された法律で時効期間が変わった」けど、基本的には「5年程度」と考えてもいい。

2. 10年で時効（その他の借金）

個人からの借金、会社からの給与立て替え、銀行ローン（住宅ローン以外）などは「10年で時効」になる。

つまり「10年間、返済請求がなければ、時効が成立する」わけだ。

ただし「時効は自動的には成立しない」

ここが重要なポイント。「5年経ったら自動的に帳消しになる」わけではない。

債権者（借金を貸した側）は「時効が成立するのを防ぐために『時効の中断』という手続きをする」。

その手続きをされると「時効がリセットされて、また5年（または10年）が始まる」わけだ。

つまり「何もしないで放置してると『時効が中断される』という事態が発生する」ということだ。

時効を中断させる債権者の手段

債権者が「時効を中断」させるために使う手段は：

1. 督促状の送付

「返済してください」という督促状を送る。その時点で「時効は中断」される。

2. 訴訟の提起

裁判所に「この借金を返してください」という訴訟を起こす。その時点で「時効は中断」される。

3. 支払い催促

簡易裁判所に「支払い催促」を申し立てる。その時点で「時効は中断」される。

つまり「黙ってても、債権者が動けば『時効は中断される』」ということだ。

時効が成立するまでのプロセス

では「時効が成立する」というのは「どういう状況か」。

1. 最後の返済日から5年（または10年）経過 借金をしてから、その後一度も返済していない。督促も来ていない。その状況が「5年（または10年）続く」ことが必要
2. その間、督促が来ていない 督促状、訴訟、支払い催促。こういった「債権者からのアクション」が一度も来ていない
3. その間、本人が返済をしていない たとえ「1円でも返済した」という事実があれば「時効は成立しない」
4. その間、本人が「返済します」と言っていない 約束手形、誓約書など「返済の約束」をしたら「時効は成立しない」

つまり「完全に放置状態が5年～10年続く必要がある」ということだ。

俺の経験：10年前の借金が時効成立した話

実際に、俺は「10年前の個人からの借金」が時効成立した経験がある。

その借金の背景：

• 友人から借りた100万円
• 10年前（返済できない状況になって、返済をやめた）
• その後「友人も返済請求をしてこなかった」
• 10年間、督促もなく、放置されてた

10年経った時点で「弁護士に相談した」。弁護士の判定は「この借金は時効成立の可能性が高い。ただし『正式に時効援用をする手続き』が必要です」というもの。

その手続きは「時効援用通知書」という書類を「友人に送る」ということ。その通知を受けた時点で「時効が成立して、借金は帳消しになる」わけだ。

実際に「時効援用通知書」を送った。その後「友人からの返事は来なかった」。つまり「時効が成立して、借金は帳消しになった」ということだ。

時効援用の手続き

では「時効援用」という手続きは「具体的に何をするのか」。

1. 弁護士または司法書士に依頼

通常は「弁護士または司法書士」に依頼して「時効援用通知書」を作成してもらう。

2. 時効援用通知書の作成と送付

債権者に「この借金は時効成立しました。返済義務はありません」という通知書を送る。

通常は「内容証明郵便」で送って「確実に受け取ったという証拠」を残す。

3. 債権者からの異議がないか確認

通知を送った後「債権者が『この時効援用は無効だ』という異議を言ってこないか」を確認する。

通常は「3ヶ月程度」様子を見る。その間に異議がなければ「時効成立」という判定になる。

4. 必要に応じて調停を申し立てる

もし「債権者が異議を言ってきた」場合「簡易裁判所に調停を申し立てて、正式に『時効成立』という判定をもらう」という手段もある。

ただし「この段階に至ることは少ない」。債権者も「時効成立の事実」を理解してることが多いから。

時効援用の費用

弁護士または司法書士に「時効援用通知書の作成と送付」を依頼する場合「費用は3万～10万程度」が相場だ。

それに比べて「時効援用によって帳消しになる借金」が「100万」なら「費用対効果は非常に高い」ということになる。

つまり「時効援用は、コストパフォーマンスの高い手段」だ。

ただし「危険な誤解」もある

時効援用について「多くの人が誤解してる」ポイントがある。

誤解1：自動的に帳消しになる

「5年経ったら自動的に帳消しになる」と思ってる人が多い。でも「時効援用通知書を送るという手続きが必要」だ。

手続きなしに「自動的には帳消しにならない」。

誤解2：時効中断の知識がない

「督促が来ていないから、時効が成立してる」と思ってる人も多い。でも「督促が来た時点で『時効は中断される』」。

つまり「最後の返済日から5年経っていても『その間に督促が来た』なら『時効は成立してない』」という可能性もある。

誤解3：借金の消滅と信用情報の消滅は別

時効援用で「借金が帳消しになった」としても「信用情報に『時効援用した』という記録は残る」ことがある。

つまり「借金はなくなったけど『この人は借金を返さずに時効で逃げた』という情報は残る」わけだ。

その情報が「新しくクレジットカードを作る時」に影響することもある。

時効援用をするべき人・するべきでない人

時効援用をするべき人

1. 5年以上前の借金で、督促が来てない 時効成立の可能性が高い
2. 弁護士に相談して『時効成立の見込みが高い』と言われた プロの判定を信頼する
3. 他の債務整理より『コスト』が低い 手数料3万で100万帳消しなら、非常に効率的

時効援用をするべきでない人

1. 最近、督促が来ている 時効は中断されてる可能性が高い
2. 過去に『返済します』と約束したことがある 時効は成立しない
3. 1円でも返済したことがある 時効は成立しない

最後に：時効援用は「合法的な手段」

時効援用は「借金から逃げる」のではなく「法律で認められた権利」だ。

日本の法律は「一定期間、返済請求がなければ『返済義務は消滅する』」と決めてる。

その法律を「活用する」のが「時効援用」だ。

つまり「違法でもなく、脱法でもなく『合法的に借金を解決する手段』」として「時効援用は存在する」わけだ。

ただし「弁護士に相談して『実際に時効が成立してるか』を確認してから、手続きを進める」ことが重要だ。

手続きなしに「勝手に『時効成立した』と思って、返済を拒否する」と「債権者から訴えられて『裁判で時効が無効と判定される』」という事態が発生する可能性もある。

だから「時効援用は、弁護士のサポートが必須」という判定が、現実的だ。

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